第三章

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   「どう思う?」  廊下に出てコッソリと話しをする煉と宗。薬嗣にとって、刀自政と言う人物は、お気に入りらしく『怪しい』などと言おうものなら、秘書と事務員の立場が危うくなりそうなので、こうしてコッソリと会話をしている訳だ。  「…………敵だとしても何故今迄教授を放っておいたのか……。」  自分が来る前からの知り合いらしいので、敵なら幾らでも取り込む事は出来た筈。それをしなかったと言う事は………。  「敵と言うより………俺的には嫌な予感するんですけど~。」  「嫌な予感?」  宗が眉を潜める。煉の勘は恐ろしいぐらい良く当たる。その煉が嫌な予感?  「悪い意味の予感じゃなくてな。……良いか?よーく考えてみろ。電話越しに俺の正体や、その周囲を読み取れる様な相手だぞ?人間にしろ、神関係にしろ、かなりの力の持ち主だってのは解るな?それが、春から色々事件が起きているのに、何の存在も、気配すら無かったんだぞ?薬嗣の側に長年居る道摩も何も言っていなかった所を見ると、道摩も存在を感知して無かったって事だ。涼も然り。刀自政の近くに居た桔梗様ですら何も言っていなかった。…………桔梗様以上の力が、神が意図的に隠していたとしか考えられん。」  「桔梗様以上………まさか、三帝ですか?!」  驚く宗を横目に、煉は微妙な笑いを口元に浮かべる。  「三帝なら良いけどねー………。居るだろ?五百年の間行方不明で、そう言う隠し事が得意な御狸様。」  煉の説明に、宗も思い当たる狸が1人(?)だけいた。
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