旅立ちの章

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私の名前は 吉田……いや、たかはし だ。 ここ『ルイーダの酒場』に雇われに来た "新米"商人だ。 まぁ、雇われにきたのもかれこれ2年くらい前になるか、突然ルイーダ(女店長)からの呼び出しをくらい、勇者と呼ばれるまだ毛も生え揃えてなさそうな糞ガキのお守りを任せられたのだが、 ルイーダ 「今日から貴方の名前は『たかはし』、 職業は商人よ フフフッ」 などと、意味不な事を言われ、その糞ガキ勇者と、女なのか?と疑いたくなるゴリラのようなマッチョな女戦士と、結構、いやかなり私の好みのタイプな女僧侶のパーティーに入れられ、 糞ガキ 「じゃ、『布の服』渡して」 と言われ、「え?」と言う間もなく女マッチョ戦士に羽交い締めにされ、強引に身ぐるみ剥がされ、 糞ガキ 「じゃ、ルイーダさん次は、魔法使い"やまだ"で」 と糞ガキが次の生贄を告げる時にはすでにパーティーから外されていた。 その際、女僧侶がまるで壊れた玩具を見る目で、ぼそりと私に向かって「死ね、ニート」と言っていたのを忘れる事は無い。 自己最速の3分での失恋である。 『もう2年になるか……』 あれから、パーティーへの誘いは無い。
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