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バッシャーンッッ!
とあるキャバクラの閉店した店で顔を真っ赤にして怒っているキャバ嬢がグラスに入った水を一人のキャバ嬢の顔に浴びせた。
水浸しになった彼女は淡々とポーチからハンカチを取りだし顔を拭いている。
「あんた!理解してんの!?あたしの客とったのよ!?」
『別にあの人が勝手にきて勝手にあたしを指名してくれたんですから。』
「生意気なんだよ!!」
『僻みですか?ヤメテ下さいよ。自分があの客から引っ張れなかったからって。あの客意外に金持ってるんですから。』
「………っ!」
女は手を振り上げた。
「止めとけ。」
「結城店長…。」
二人の間に店の店長が割って入った。
『…………。』
「蘭、お前も必要以上に言うな。わかったな?」
『………すみません。』
蘭は俯かせて小さく謝った。
キャバクラ【ENVI】の店長
結城弘人はキャストの憧れだった
端正な顔立ち。穏やかな物腰。
黒服をスマートに着こなす姿。
25歳と言う若さでグループの一つを任される手腕の持ち主。
「ともかく今日はミーティング終わるぞ。みんなお疲れ様。」
結城がキャストを帰していく。
蘭一人を残して。
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