キャバ嬢 鳳 蘭 -オオトリラン-

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二人で残った店内。 結城はふうっと息をついてボックスに座った。 「何を苛立ってるんだ。蘭。」 『…………。』 「他のキャストからの苦情も多いぞ。」 『別にNO1なんだからいいでしょ。それに見合った営業してるだけ。』 「…色恋はまだいい。枕は続かないぞ。」 『…何で?愛のないセックスお金に変えて何が悪いの?』 「…蘭。」 そんな顔しないでよ。 悲しそうな顔作んないでよ。 本当は何も思ってないくせに 『店長だってそうじゃん。好きでもない女、色恋管理してんじゃん。』 「何言ってんだ。俺はお前の事本気で…」 『言わないでよ!!』 だったら休みの日はどうして会えないのよ。 奥さんと可愛い子供の為なんでしょ。 あたしが何も知らないとでも思ってるの? 『…帰る。』 「…送る。」 『一人で帰らせて。』 「………蘭。」 店長はあたしの事を本名で呼んでくれた事はない 店の中でも、「蘭」 部屋の中でも「蘭」 ベッドの中でさえも「蘭」 「蘭」と言って愛を囁く だから決めたのよ あたしは「蘭」になるって 本名のあたしなんて 誰も必要としてくれないから 『…お疲れ様でした。』 「………あぁ。」 あたしはそのまま店を出た。
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