桜舞い散る春に……

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いつも通りの日々。 調子もいいらしく、なんだか顔色も良くなっている気がする。 幸せな気分だった。 ………だが、そう思ったのはこの日が最後だった。 四日目の朝が来た。 いつもの時間に櫻乃が起こしに来ない。 不思議に思い、櫻乃の病室に行った。そこには……、 「櫻乃っ!」 「ごほっ、はぁ…、う……ぁ…」 激しく咳こみ、いかにも苦しそうな櫻乃。 僕は慌てて先生を呼んだ。 そして先生が来て、櫻乃を見てもらった。 「これは……悪化している、もう心臓がだいぶ弱ってしまっている」 先生は言った。 「どうすれば!?」 僕は言う。 「今はどうすることも……しばらく寝かせておきましょう」 そうして櫻乃はベットで寝た。 苦しそうな表情は治らない。 「くそっ…僕が安心しきってしまったからだ……僕のせいだ。」 櫻乃のベットの横での独り言…。 すると、 「お兄さんは…悪く…ないよ」 「え?」 「私が…無理して、散歩に行こうって言ったから……私のせいだよ。」 櫻乃は言った。 「櫻乃……ゴメンな。」 櫻乃はまた眠ってしまった。 五日目……。 櫻乃はずっと寝たきりだ。 「次の発作が来たら、たぶんもう耐えられない。」 そう先生に言われた。 「先生の薬でなんとかならないんですか!?」 「あの子の病気の進行が早過ぎる…もってあと二日あるかないか……」 「そんな…」 僕は愕然となった。 僕は櫻乃の様子を見に行った。 「大丈夫か?」 「今は平気、なんともないよ」 少し顔色は悪いが、昨日ほどでもない。 「そうか…それはよかった」 「お兄さん……先生と何話してたの?」 「え…別になにも…」 「私はあとどのくらいなの?」 「え?」 「もうすぐ死んじゃうんでしょ?」 「な…何言ってんだよ」 「正直に答えてよ!長くないってことくらい私にもわかるよ!」 櫻乃は真剣な表情をしている。 本当のことを言うしかないのか。僕は思った。 「ゴメンよ櫻乃……もう…そんなに長くないんだ…我慢してくれ…」 「そう……なんだ……、うぅ…う…」 …と泣き出す櫻乃。 「死にたくない…死にたくないよぉ。うぁ…ぅ……ん…」 「櫻乃………」 「うわぁぁぁん!」 響く泣き声……。 僕は泣きたい気持ちを必死に堪えた。 六日目…… もう櫻乃は自力で歩くことも出来なくなっていた。
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