アクロの恋

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待ち合わせ場所のカフェには、予定通りスザクとスザクの彼女が向かいあって座っていた。 ガラス越しにスザクが俺に気付き、軽く手を振る。 彼女は俺を見やると、手中にあるハンカチをぐっと握りしめた。 「ごめん、遅くなった」 「うん、大丈夫。で…さ」 俺がスザクの隣に座ると、スザクは緊張した面持ちで彼女に向き直る。 「こいつが、さっき話したアクロ。俺…ずっと君を騙してた。…本当は、男しか愛せない。いや、男じゃないと感じないんだ。もちろん、君のことは愛してたし、今だって大好きだ。…だから、君を傷つけてしまう自分が…情けない…」 スザクは淡々とした口調で言ったが、最後の情けないだけ声を震わせた。 本当、いつ見ても迫真の演技。 「そんなこと言って…ただ、私と別れたいだけなんでしょう?下手な小細工なんかしないでよ」 お嬢さん、鋭い。 だけどそれは想定の範囲内。 スザクは悲しげに顔を歪ませて唇を噛む。 そして、俺の肩に腕を回した。 きたきた。 俺は内心ほくそ笑み、戸惑ったような視線を浮かべ、頬を赤らめる。 そして、スザクの左手が俺の顎を捕らえ、次の瞬間には唇と唇が触れ合っていた。
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