199人が本棚に入れています
本棚に追加
「お疲れ、いつもサンキュなアクロ」
「おう」
俺たちは今、上手いと評判のハンバーグ屋でハンバーグを待っている。
勿論、スザクの奢りだ。
これが今日の俺の報酬。
スザクの恋人のフリをした報酬。
「あ、口の中平気?あの子疑り深くて、手加減出来なくて舌入れちゃったけど」
「あぁ、別に」
むしろ、そっちのが嬉しいし。とは言えない切なさ。
スザクは、俺がゲイだと知らない。
「それにしても、浴びたな」
俺はスザクを見てニヤリと笑む。
今、スザクはスポーツタオルで赤い髪をわしわしと拭いているのだ。
「まぁでも、水で良かったよ」
選択肢は3つあった。
アイスコーヒーとオレンジジュースと水。
その中で彼女は躊躇いなく水を選んで思い切りスザクに浴びせかけたのだ。
「染みになんないし」
水も滴るなんとやら。
俺は妖艶なスザクから目をそらして、コーラを飲み下すことに意識を集中させていた。
最初のコメントを投稿しよう!