アクロの恋

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スザクとの腐れ縁は、高校二年からだからざっと五年になる。それがそのまま俺の片想い期間なのだから、気が遠くなる。 高校二年の時のクラス替えで、初めてスザクの存在を知った。 学級委員と生徒会長を兼任するような、優秀な奴。しかも眉目秀麗。 そんな奴が、俺を学級委員の片割れにと推薦しやがったのだ。 「アクロくんは人気者だし、絶大な発言力を持っている。それに加えてしっかりしているから、学級委員として適任だと思います」 何言ってんだこいつ。 それはクラスの全員が思っただろう。 確かに言っていることの大半は的を射ていた。 だけど、本当にしっかりしてる奴はピアスの開けすぎと髪を奇抜な色に染めすぎという理由で生活指導に呼び出されたりしないだろう。 だけど奴は。 「自分のアイデンティティーを確立してるってことだろう?見た目の奇抜さが、そのまま人間の本質であるなんて俺は思わないけど。むしろ、その他大勢に埋もれるような没個性な奴はごめんだね」 そう言った。
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