安心感12

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なんでなん? 普通、記念日的なもんは二人で祝うんちゃうんか? お前は、俺と一緒におりたいと思わんかったん? 菅の部屋から帰る車中、一人で菅に対し毒づく。 恋人とは言え、女性とは感覚がちゃうからやろか? せやけど、俺は男やけど、記念日には好きな奴と一緒に過ごしたいで。 今までの経験を思い返しても、誕生日を一緒に過ごせへん謝罪はしても、誕生日を一緒に過ごすための約束なんかしたことあらへん。 付き合い方のセオリーを根本から覆される感触に胸がちりちりと焦げ付く感覚を覚えた。 「あぁっ、もうっ」 ・・・菅の考えとることがよう分からん。 苛々しながら、自宅の鍵を開ける。 帰る予定のなかった部屋は、ひんやりと暗く、気分が滅入る。 酔っ払って眠ってしまおうと、ビールのプルトップを引いた時、 ピンポーン 明るいインターフォンの音にさえ苛立ち、不機嫌な声で対応する。 「・・・はい。」 「俺やけど。」 暗いモニターに目を凝らすと、菅の姿が映っている。 普段なら、ハイテンションで出迎えるけど、今は苛立ちの方が大きい。 「どないしたん?」 「話あるから。開けて」 オートロックを解除し、玄関で菅の来訪を待つ。 人の近づく気配に、ドアを開けると、不機嫌な菅がこちらに向かって歩いてくる。 そして、顔を見るなり、俺が一方的に終わらせた、会話の続きを始めた。 「あの電話なんなん?」 「なにが?楽しんできてって言うたやんけ。」 「いや、だって、おかしいやろ?普段あんな電話の切り方せぇへんやんけ。」 「おかしいんはお前やないの?」 「どういうこと?」 「なんで誕生日位俺と過ごすために空けてくれへんの?」 さっき感じた寂しさと怒りをストレートに菅にぶつける。 いつもみたいに、お前に嫌な思いさせえへんように、気使いながら喋る余裕なんてないわ。
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