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「なぁ、何がそんなに気に入らんねん?言うてくれな分からへんよ。」
帰ろうとする菅を背後から抱きしめ、問い詰めた途端、菅の身体から力が抜けた。
そのまま、俺の腕の中をすり抜け、崩れ落ちるようにうずくまる。
「すが?」
慌ててしゃがみこむと、激しく泣いているのが分かった。
「どないしたん?」
突然の号泣に戸惑いながら、訳を尋ねるが、全くリアクションがない。
・・・これは、落ち着くまで待つしかないな。
うっすらと冬の気配を感じる、秋の夜中。
せっかくの誕生日に泣かしてしまった恋人に、せめて風邪だけはひかさんとこうと、背中から被うように抱きしめる。
どの位時間が経ったのか、菅が体重を預けてきた。
それを、気持ちが落ち着いた合図やと踏んで、優しく頭を撫でる。
撫で続けとると、俺の肩に頭を乗せ、菅が顔をあげた。
普段より潤んだ瞳が、魅惑的で・・・泣顔さえ可愛いやなんて、お前、反則やわ。
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