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宇治原の肩に頭を預け、至近距離で見詰め合う。
頭を撫でていた手に引き寄せられ、久しぶりに交わす口づけ。
かさかさした宇治原の唇を潤すために、下唇を丁寧に舌でなぞる。
次は上唇と思ったところで、大きく口を開けられ、宇治原の舌が荒々しく進入してきた。
俺の口腔を余すところ無く、舐め上げ、舌と舌を絡める。
きつく舌を吸われ、ねっとりとした快感に身を委ねていると、不意に強く舌を噛まれた。
「いっ。」
突然の痛みに思わず身を引くが、背後からがっちり包囲された身体は、すぐに宇治原の方へ引き戻されてまう。
「お前のこと食べたい位好きやのに・・・伝わってる?」
背後から聞こえる囁きは笑いを含んでんねんけど、どこか寂しげで。
恋人としての宇治原に対して抱いていた苛立ちや嫉妬。
相方として宇治原に対して抱いていた才能に対する羨望、自分の才能に対する不安。
大阪を出た途端、感じずにはおられへん知名度の隔たりに対する焦り。
時折感じる庇護対象のような扱いに傷つく、同じ男としてのプライド。
そんなこと思てるって認めたくなくて、些細な宇治原の言動を苛立ちの原因にしてもうてた。
それやのに、お前はそんな優しい目で俺のこと見てくれるんや。
俺のこと、そんなに好きやって言うてくれんねんな。
あぁ、俺、欲張りになってたわ。
最初は側におれるだけでええって思てた。
それやのに、いつのまにか望みが、”お前の全部を独占したい”に、そして”俺の全てを分かってほしい”にエスカレートしてもうてた…。
お前が俺の望みを受け入れてくれる度に、感謝するどころか、もっともっとって。
あかんわ。
ほんまにすまん、宇治原。
俺、自分のことばっか考えてたな。
苛々の原因が氷解し、反省しているところで、黙り込んだ俺を訝しんだ宇治原が、冗談めかして声をかけてきた。
「菅さん、俺の態度だけじゃ気持ちが伝わらんのなら、身体に伝えるしかないんちゃいます?」
「いや、もう十分分かったから。ありがとう。」
このまま玄関に居座ったら、宇治原に風邪をひかせてまう。
立ち上がった俺に、つられるように立ち上がった宇治原が俺の肩を抱き言った。
「いーや、お前はわかってへん。」
「・・・そうなん?」
「そうや。やから、おいで」
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