安心感16

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男二人が横たわるには狭すぎるソファに、あえて横たわり、菅にぴったりとくっついた。 しつこく耳を構おうとした瞬間、少しイラっとした声で、 「嫉妬してん」 菅が答えた。 「え、なにに?」 予想外の答えにサディストに徹するのも忘れ、素でつっこんでしまう。 菅は観念したように、天井を仰ぎ見ると、交差させた両腕で顔を被い、 「俺の知らんフィールドで交友関係築いてんのとか、お前好みのスタイリストの子に鼻の下伸ばしてんのとか。・・・自分でもくだらんって思うんやけど、俺の知らんお前の全部に、嫉妬しててん」 「うわっ、どないしよ?そんな嬉しいこと言われたら、俺、お前に聞きたかった他のこととかどうでもようなってきたわ」 落ちていく菅とは対照的にどんどんあがっていく俺。 そんな気配を察したのか、ため息混じりに、菅が呟く。 「お前、ごっつ腹立つわ。ほんまはこんなん言いたなかってん。」 両腕の間から覗く唇に軽く口付け、 「広文、機嫌なおして。顔見してぇや。」 甘くねだると、 「何浮かれてんねん」 苦笑いしながら、菅が腕を下ろす。 やっと俺の目を見てくれた菅の瞳を見つめて、 「嫉妬でもなんでも、嫌なことあったらとりあえず言うて。お前に一人で解決されんの寂しいわ。 ・・・せや、俺、今日のサプライズ訪問の空振りも、めちゃくちゃ寂しかってん」 懇願し、今までの寂しさを埋めようと、菅の首の付け根に顔を埋めた。 俺の頭を優しく撫でながら、菅がぼそりと呟く。 「ん。俺、最近自分のことばっか考えてたなぁって、さっきから反省しててん。俺、お前に甘え過ぎやわ」 「甘えてくれんのは全然ええよ。ただな、俺のこともう少し考えてくれへん?」 俺の頼みに、わかったと頷いた菅が続けて言った。 「お前は俺に気ぃ使いすぎやわ。もっとストレートに伝えてくれんと、本音疑ってまうやんけ。」 あっ! それがお前の不信の一因やってんな。 顔をあげ、目と目をあわせて 「わかった。そうするわ。」 約束する。 満足そうに笑う菅の、膨らんだ小鼻が可愛い。 「広文、セックスしよか」 誘う俺に、呆れたように笑いながら、 「ストレートの意味ちゃうって。お前最低やん。」 つっこむ菅に、 「あかんの?」 被せると、 「あかんことあらへんけど」 菅が言いよどむ。 「けど?」 「今日はもう耳は堪忍してな」 「了解」
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