違和感

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…菅の様子がおかしい。 ここ数ヶ月、少しずつ大きくなってきた違和感。 最初は会話が弾まん程度のもんやった。 「お互い疲れてんねんなぁ」なんて、のんきに構えとったのがあかんかった。 気が付くと、今まで感じたことの無い壁が菅の周りを囲んでいた。 なんで俺を避けるん? なんで俺に触ってこんの? そんなに広くも無い楽屋の中、対角線上にいる俺たちの不自然な距離。 気のせい、気のせいと自分に言い聞かせてきたがもう限界や。 こんな菅を俺は知らない。 楽屋に入ってから、ろくに俺と目を合わせようともせず、雑誌を読んでいた菅に、内心どきどきしながら、平静を装って言った。 「なぁ、この仕事終わり一緒に飯いかへん?」 数ヶ月前までは、当たり前のように、お互い口にしていた言葉。 なのに、菅は驚いた様に固まり、そして、面倒そうに答える。 「・・・んぁ?今日か?ごめんやけど、先約あんねん。」 一度も俺の顔を見る事無く、再び雑誌に集中しだした菅に、折れそうな気持ちを堪えて、もう一度誘ってみる。 「じゃあ、明日は?」 「明日はお前が東京で仕事やないか。」 「終わってからでもええやん。9時には大阪戻ってくる予定やし。」 「・・・んー、でも、収録押したら何時になるか分からんやんか。そんな無理して行くもんちゃうやろ?また時間が合った時でええんちゃう?」 ええことないよ。この会話の最中、一度も俺の顔を見ぃひんお前が、この先いつ俺と時間を合わせるっちゅうねん。 腹の中では、菅に対する苛立ちが渦巻いていたが、勇気を振り絞った二度目の誘いさえ、けんもほろろに断られた俺は、菅にかける言葉を見つけられず、本番までの時間をただ黙って過ごすことしか出来なかった。
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