序章~お使い~

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 一人の11、2歳くらいの少女が暗い路地裏を歩いている。  少女は長袖の上着と膝を隠すくらいに長いスカートを履き、大きめの鞄を肩に掛けていた。  そして真っ赤な大きなリボンで髪を結んでいる。  それが、どこか幼く見えさえしていたが、それでも少女は可愛らしい部類に入るだろう。  だが少女の背中には、その可愛らしい姿に不釣り合いな棒があった。  コツコツコツ  夜の闇の中に足音が、吸い込まれるように響いた。  人気のない場所に、幼い(?)少女が一人で歩いている。  これを見て、ならず者らが黙っているはずがない。 「お嬢ちゃん、ここで何をしているのかな? お母さんと、はぐれちゃたのかな~?」  下卑た笑いを浮かべながら、いかにも“悪者です”という顔をした三十代から四十代後半くらいの男たちが、暗闇から10人程現われた。  全員の手にはナイフが握り締められている。  そんな男達が、少女を包囲していた。 「違います。お使いの帰りなんです」  少女は怯えるでもなく、笑顔で男達の質問に答える。  少女からは恐怖という二文字は感じられない。 「……おめぇ、恐くねえのかよ!」 「? えぇ。恐くないですよ」  てっきり、恐怖で泣きだすかと思っていたならず者達は、当てが外れて数瞬凍り付く。 「野郎共、やっちまえ!」 「おぉぅ!」  ならず者としてのプライド(?)を傷つけられた悪党共は、いっせいに襲い掛かる。  その時、風の音と供に大きな“何か”が現われた!  ついでと言わんばかりに、ゴロツキの内の一人を倒して。image=52911399.jpg
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