20人が本棚に入れています
本棚に追加
一人の11、2歳くらいの少女が暗い路地裏を歩いている。
少女は長袖の上着と膝を隠すくらいに長いスカートを履き、大きめの鞄を肩に掛けていた。
そして真っ赤な大きなリボンで髪を結んでいる。
それが、どこか幼く見えさえしていたが、それでも少女は可愛らしい部類に入るだろう。
だが少女の背中には、その可愛らしい姿に不釣り合いな棒があった。
コツコツコツ
夜の闇の中に足音が、吸い込まれるように響いた。
人気のない場所に、幼い(?)少女が一人で歩いている。
これを見て、ならず者らが黙っているはずがない。
「お嬢ちゃん、ここで何をしているのかな? お母さんと、はぐれちゃたのかな~?」
下卑た笑いを浮かべながら、いかにも“悪者です”という顔をした三十代から四十代後半くらいの男たちが、暗闇から10人程現われた。
全員の手にはナイフが握り締められている。
そんな男達が、少女を包囲していた。
「違います。お使いの帰りなんです」
少女は怯えるでもなく、笑顔で男達の質問に答える。
少女からは恐怖という二文字は感じられない。
「……おめぇ、恐くねえのかよ!」
「? えぇ。恐くないですよ」
てっきり、恐怖で泣きだすかと思っていたならず者達は、当てが外れて数瞬凍り付く。
「野郎共、やっちまえ!」
「おぉぅ!」
ならず者としてのプライド(?)を傷つけられた悪党共は、いっせいに襲い掛かる。
その時、風の音と供に大きな“何か”が現われた!
ついでと言わんばかりに、ゴロツキの内の一人を倒して。
最初のコメントを投稿しよう!