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町一番の大きな屋敷の庭に、イリエと白呀は降り立ちた。
庭にレイル達が倒したモンスターは殆どいず、逆に屋敷の人があちこちいた。
人々は突然現われたイリエと白呀に驚きを隠しきれない。
それどころか、白呀の姿を見て新たなモンスターかと思い、隙さえあれば攻撃しようと身構えている。
「イリエ! 遅かったじゃないの」
そんな殺伐とした雰囲気の中、場違いな程大きく声が響いた。
それは、ルビィのような真っ赤な鋭い双眸が印象的な、美女・レイルが発した言葉だ。
茶髪の長い髪の一部を瞳と同じ色の紐で結び、ジーンズ生地のズボンと上着を着ている。
背中にある赤茶の弓が、彼女を冒険者に見せていた。
「そんなはずないよ。白呀が連れて来てくれたんだもん」
こちらも場違いな明るさで、声のした方へ言い返す。
その方向には、イリエ達の周りを遠巻きに囲んでいる人込みを掻き分けながらやって来る、レイルの姿があった。
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