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「煮詰まってんなあ……」
ふうっと最後の煙を吐き、吸い殻を始末する。
それでも。
「銀時を泣かすよりはマシ、か……」
もしも。
既に純粋とは言い難い自分の想いを知られたら。
きっと、酷く傷つけてしまう。
銀時が抱きついてくる度に。容赦無く胸を刺す痛みは既に甘やかなんてものではないが。
無防備に晒された真っ白い肌に全てを忘れてむしゃぶりつきたくなる欲望をありったけの理性で捩じ伏せる。
報われる筈の無い想いは、抱えこむには成長し過ぎてしまったけれど―――。
「……戻るか」
そろそろ銀時が痺れを切らす頃だろう。
今日もまた銀時の気の紛れるようにゲームに付き合って。
一緒に眠ろう。
それで……いいんだ。
鏡に映る……物憂げなクセに何処か飢えた獣を想わせる自分の瞳は見なかった振りをして、土方は居間の扉を開けた。
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