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けほけほと噎せる背中をさすり。タオルで己の白濁に汚れた顔を清める。
銀時の呼吸が落ち着き……改めて向き合えば。
嘗て無い程の達成感。
そして。
押し寄せる焦燥感。
涙が滲んだ目尻に口づけたい愛おしさに駆られども。禁忌を犯した今となっては触れることすら逆に畏ろしい。
「……ぎ…ん……」
探せど脳内を空回りする言葉は形にならず、ただ、胸の奥に渦巻く想いだけが―――。
隠してきた己の想い。
隠し続けなければならなかった想い。
伝えられないならば、出来得る限り共にありたかった。
銀時にとって、唯一の存在になりたかった。
それなのに。
これほどまでに呆気なく。
所詮、泥で造った城だった。
何れ程外見を飾り付けても、泥は泥。
崩れ落ちれば泥濘に足をとられ立ち竦むだけ。
「……ごめんな…」
逡巡の末―――出たのはありきたりな謝罪の言葉。
だが。
「えっ……っ」
眼の前の紅玉が大きく潤み……はらはらと涙が白い頬を流れた。
「そうだよな……いやだったよな。もう、何もしないから。銀時、俺はお前の眼に届かないところへ……「土方のバカヤローッッ!!」
必死に言い募る土方の台詞を遮った銀時の怒鳴り声。更に、渾身の頭突きが直撃した。
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