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「ん―――――ッッ!!」
顔の下半分を押さえて悶絶する土方。たらりと指の隙間から鼻血が溢れる。
「銀っ「何だよ、ごめんって!何だよ、俺の眼の届かないとこへ行くって!逃げんのかよッッ!ウソツキッッ!」
泣きじゃくりながら叫ぶ銀時。宥めようとする土方の手を振り払いながらも逃げもせず、寧ろ胸元へ抱きつき、尚も続ける。
「俺のこと、好きだったんじゃないのかよッッ!」
刹那。土方の背に衝撃が奔った。
それは。つまり―――。
「銀時……落ち着いてよく聞いてくれ」
「……なんだよ…」
そっと腕の中のぬくもりを抱き締める。ぐすぐすと鼻を鳴らし、拗ねたように呟く。その躯に抵抗は無い。
「銀時……俺は……お前のことが好きなんだ」
「……嘘だもん」
「本当だ!」
意を決して告げる言葉。もう、後戻りは出来ない。
「……俺だって土方のことが好きだよ?なのに……」
言外に責める銀時―――けれどもその内容は。
「銀時。俺がお前を好きだっていうのは、近所に住む遊び相手としてじゃない。勿論、医者としてでもない俺は―――」
―――お前を、一人の男として好きなんだ―――。
「お前に触りたい。お前にキスしたい。それ以上のことも……たくさんしたい。分かるか、ほら……」
腰を抱き寄せ、未だ治まりきらない自らの昂りを示す。
「遊びなんかじゃない。ましてや単なる性欲処理じゃない。何もかも、お前が愛しくて仕方無いからだ……」
幼い肩口に顔を埋め、想いの丈を打ち明ける。
好きだ、銀時。お前しか欲しくないんだ。
腰に大人の昂りを押し当てられ、お前は今何を想う―――?
青年は赦しを乞う罪人の如く天使に縋りつく。
長い長い沈黙の後。
銀色の天使は……―――。
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