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二週間後―――。
やけに上機嫌な高杉が鬼兵隊の隠れ家に帰ってきた。普段はこんなにも隠れ家を空ける前に武市にせっつかれた部下が迎えに行くのだが、今回に限り、そのような催促が行われた様子は無い。また子が武市に尋ねても、曖昧に濁されてしまっていた。
しかも。
夕食を届けに部屋へ向かったまた子の眼に映ったのは、坂田銀時……とやに下がった笑みを浮かべる鬼兵隊総督の姿だった。
「ゆゆゆ幽霊ィィッッ!?」
「危ねっ!」
膳を取り落としそうになるまた子を咄嗟に支え、銀時は苦笑いする。
「どーしよ、この子、完全に誤解してますよ?」
「んなこと、俺の知ったことか。早くこっちに来い」
座り込んで念仏を唱えるまた子を追い払うように部屋の障子が閉められた―――。
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