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「…高杉……たか…す……し…ん…」
譫言めいて微かに呼ばれるその言葉が。どんな媚態よりも高杉を熱くさせる。
奥深く貫きつつぴたりと肌を合わせれば、淡く匂いたつ甘い香が。
かつて……銀時と離れていた頃、京の職人に作らせようとしたこともあったが……結局どんな名人も作りえなかった、この香。
銀時が溺れれば溺れる程に誘いこむように深くなる……。
煌めく銀糸も、潤む紅玉も……これほど透明な笑みを浮かべ、なお淫欲に震える躯も。
―――代わりなんざいるわけがねェ……。
指を、脚を、全身を絡ませ一つに蕩け合う。
「…し……ん……あぁ…もぅ…っ…」
『―――――』
感極まった銀時の瞳からはらはらと流れ落ちる滴。それを舌で受け止め、零れ出した楽の音を存分に味わう。
「銀時……銀時……俺もだ……俺は…テメェさえ……」
最早何も聞こえていないことを承知の上で囁く言葉。それでも。
「…し……ん………」
ふわりと幸せな笑みを浮かべる二人を、月は優しく映していた―――。
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