恋色惨劇

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【おまけの鬼兵隊】 「いや、まさかあの男が銀時殿の偽物だったとは……」 「ですよね!あんな若白髪男、他にいるとは思わなかったっス!」 「顔立ちや雰囲気もよく似てましたしねえ…」 「整形、でござろうな。よく出来ていたでござる。こちらの情報も漏れていたようでござるよ」 「でも流石は晋助様っス!あの偽物を見事見抜いて一刀両断っス!また子は惚れ直したっスよ~!」 「生首みて気絶したとは思えない台詞でござるな……」 「あ、あれは!晋助様の恰好良さにあてられてというか……あっ、そういえば晋助様はどうしてあいつが偽物だって気づいたんスか?やっぱり気配とか?」 鬼兵隊恒例の酒の席。一同の眼が一斉に上座で煙管を燻らす高杉に向けられる。 「顔」 「は?」 一言。たいして興味もなさそうに言い切る総督に訝しげな声があがる。 「顔見りゃ分かんだろ。“俺の”銀時はもっと可愛い。美人だ。そしてもっと、超絶エロい。あんなエロさを振り撒いてるくせに、甘味を食う顔は全くもって無防備なんだ。思わず別なモン食わせたくなっちまうだろうが。あんなエロい生き物を歌舞伎町なんかに放し飼いしたくねェって俺の気持ちも分かんだろ!?最近は幕府の犬と文通を始めたなんて情報もあるし……俺にはメールの一通も寄越さねェくせによォォッッ!!銀時のバカヤロォォッッ!!」 「あー、皆、そろそろお開きと言うことで……」 「聞け!万斉!なあ、何でだ?何でアイツは……聞けってんだろうがァァッッ!」 万斉の襟首をひっつかみ、半泣きになりながら管を巻き始める鬼兵隊総督。 「今日は静かだと思ったら、こういうことだったんスね……」 「“さぶちゃん”からの事後連絡が頻繁にありましてね……その中に先刻の情報が」 「はあ……余計なことを……」 大きな溜め息とともに立ち上がるまた子。とりあえず今日の酒宴の口止めをしてこなければならない。 「銀時ィィッッ!」 「晋助……人の袖で鼻水を拭うのはやめてほしいでござる」 晋助様……晋助様がどんな嗜好をお持ちでもまた子はついていくっス! ――――――――――恋色惨劇
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