プロローグ

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    俺の17歳の誕生日前日。   母さんと夕食を食べている時、いきなり母さんが話し掛けてきた。     「朔(ハジメ)、明日は貴方の17歳の誕生日ね」   「あぁ、そうだったっけ?」     興味なさそうにおかずに手をのばす。   だが、母さんが皿ごとおかずを奪い、まだ俺に話し掛ける。     「んもう! もうちょっと感心持ったらどお?」   「そんなこと言われてもなぁ…」   「はぁ…。そんなんじゃ、あのことも忘れてるわね…」   「何だよ? あのことって」   「柳澤(ヤナギサワ)家に代々続いている家訓よ。男児は17歳の誕生日、決められた人と婚約する」   「へぇー、そんな家訓が……って、えぇーっ!?」   「あら、本気で忘れてるわ、この子」     母さんは呆れた顔で俺を見た。     「そ、そんなの聞いてな…っ」   .
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