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「よ~し。今日はこれぐらいにして、練習終わりにしようぜ」
もう日が暮れる頃。ニケさんの号令で練習を止め、グラウンドの隅に集まる。
「じゃあ明日も同じ時間で。またな~」
「ばいば~い♪」
「ありがとうございました!! さようなら!!」
ニケさん達は悠々と引き上げ、公園を出て行った。僕はというと、最早口を開くのすら億劫なぐらい疲れていた。
因みにさっき返事をしたのは片桐さん。僕と違ってまだまだ元気だ。
「お兄ちゃん、大丈夫……?」
「ニケさんスパルタだったから、ナオにはキツすぎたな」
ハルの言うとおり、ニケさんはスパルタだった。最初はパス練習だったから良かったけど、ドリブルの練習の時は酷かった。
まぁ、体力ない僕が悪いんだけど。片桐さんがこまめに休憩を挟みましょうってニケさんに言ってくれなかったら倒れてたかも。
あ、思い出したら足が。思わず地面に座りこむと、スッと何か差し出された。
「三瀬君、お疲れ様。私の奢りでこれあげるよ」
おお……!! 片桐さんが女神に見える!!
「あ、ありがとうございます……!!」
何とか声を振り絞りお礼を言ってジュースを受け取ると、片桐さんはニコッと笑う。
「んぐんぐ……はぁ。美味しすぎる」
「良かった♪ ハル君と志穂ちゃんもどうぞ」
「お、サンキュー」
「ありがとうございます……」
どうやら片桐さんは皆の分を買ってきたみたいで、日野さんや藤宮さん達も同じのを飲んでいた。片桐さん優しいなぁ。
あっという間にジュースを飲み干し、体力が回復するまで休んだ後、僕達は家に帰った。
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