お嬢様の苗字って3文字の人が多いよね

35/35
前へ
/299ページ
次へ
楽しい時間は早く過ぎるもので、帝さんの家を出た時には外が暗くなっていた。 僕の家まで送ってくれるとの事なので再びリムジンに乗り、1時間後に家に着いた。 「じゃ、じゃあ僕はこれで。ささ、さようなら」 「待って下さい」 家に入ろうとすると帝さんに呼ばれ、足を止める。振り返ると帝さんは何故か俯いている。どうしたんだろ? 「あ、あの……。今日のデート、とても楽しかったですわ。それとごめんなさい……」 「え?」 「私は今日のデートで、三瀬さんがおりりんと釣り合うのか試してましたわ。三瀬さんは多少頼りない部分がありますが、とても優しい方ですわ」 「ぅえ? あ、ありがとうございます……」 なんか真面目な顔で優しいとか言われたら照れるけど、その前に 「あ、あの。藤宮さんと釣り合うってなんの事ですか?」 「はい? ……まさか三瀬さん、気付いてないんですの?」 帝さんは一瞬キョトンとした後、訝しげに聞いてくる。気付いてないって、何にだろ? 「はぁ~……」 帝さんは僕の顔を見て、大きな溜め息をつく。な、何で!? 「まぁ、いずれ気付くでしょうし、おりりんが三瀬さんに伝えますわ。それではごきげんよう」 「あ……」 帝さんを止める間もなくリムジンのドアが閉まり、リムジンが走り出してしまった。 一体何なんだろ? 寝る前まで考えたが結局わからず、その日はそのまま寝てしまった。 因みに家に帰ってすぐ母さんと志穂に捕まり、デートの事を事細かく説明させられた。
/299ページ

最初のコメントを投稿しよう!

66人が本棚に入れています
本棚に追加