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楽しい時間は早く過ぎるもので、帝さんの家を出た時には外が暗くなっていた。
僕の家まで送ってくれるとの事なので再びリムジンに乗り、1時間後に家に着いた。
「じゃ、じゃあ僕はこれで。ささ、さようなら」
「待って下さい」
家に入ろうとすると帝さんに呼ばれ、足を止める。振り返ると帝さんは何故か俯いている。どうしたんだろ?
「あ、あの……。今日のデート、とても楽しかったですわ。それとごめんなさい……」
「え?」
「私は今日のデートで、三瀬さんがおりりんと釣り合うのか試してましたわ。三瀬さんは多少頼りない部分がありますが、とても優しい方ですわ」
「ぅえ? あ、ありがとうございます……」
なんか真面目な顔で優しいとか言われたら照れるけど、その前に
「あ、あの。藤宮さんと釣り合うってなんの事ですか?」
「はい? ……まさか三瀬さん、気付いてないんですの?」
帝さんは一瞬キョトンとした後、訝しげに聞いてくる。気付いてないって、何にだろ?
「はぁ~……」
帝さんは僕の顔を見て、大きな溜め息をつく。な、何で!?
「まぁ、いずれ気付くでしょうし、おりりんが三瀬さんに伝えますわ。それではごきげんよう」
「あ……」
帝さんを止める間もなくリムジンのドアが閉まり、リムジンが走り出してしまった。
一体何なんだろ? 寝る前まで考えたが結局わからず、その日はそのまま寝てしまった。
因みに家に帰ってすぐ母さんと志穂に捕まり、デートの事を事細かく説明させられた。
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