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「ごめん……私がボールとられたばっかりに……」
「いや、片桐の所為じゃないよ。誰が持っててもとられてた。ってかあんなのどうやって止めろっていうんだよ……」
「運動神経抜群だって聞いてたけど、そういう問題じゃないね……」
「私達より後に跳んだはずなんですが~、いつの間にか上にいたです~……」
まずいなぁ。皆は如月さんのプレーを見て意気消沈してる。いや、僕も如月さんには驚かされっぱなしだけどね。
でも僕は皆とは逆に少し楽しみになってきた。あんな凄いことできる人に教えてもらえば、運動が苦手な僕でもサッカー出来るようになるかもしれないしね。
となると、この諦めモードをどげんかせんといかん。いや、諦めてくれた方が早いけど雰囲気悪いままなの嫌だし、どうせなら狐神君やニケさんのプレイも見てみたい。
よ~し……!!
「みみ、皆さん元気だしましょう!! し、試合では味方になるんだから心強いじゃないですか!! そ、それとも、そんなにニケさん達に教わるの嫌ですか? 」
「別に嫌な訳じゃないけど……」
「なら問題ないじゃないですか!! せっかく皆さん集まってやってるんだから楽しみましょう!!」
出来る限りの笑顔を浮かべ、皆の顔を見渡してみる。すると最初は鳩がレールガン喰らったみたいな顔をして驚いていたが、徐々に笑顔に変わった。
「……そうだな。ナオの言うとおり、楽しまなきゃな」
「うん。実力の差は歴然だが、頑張ってみよう!!」
「はい……!! 作戦……立て直さないと……ですね……!!」
「じゃあ~、こういうのどうですか~?」
皆に活気が戻り、あれやこれやと作戦を話し合う。ふぅ。勇気をだして言ってみて良かった。
「三瀬君、三瀬君」
「は、はい?」
安心してると片桐さんに小さな声で呼ばれる。そしてこの一言。
「ありがとう♪ 格好良かったよ♪」
「どどど、どういたしまして……」
めちゃくちゃ可愛い笑顔で言われ、動揺しつつドキッとしました。
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