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いえね? 普通に考えて運動音痴の僕が、如月さん達みたいなチートキャラに太刀打ちできる訳ないじゃないですか?
だからハルや片桐さんに任せるんですよ? 別にサボリたいわけじゃないですからね?
……などと考えてると、相手ゴールまで大分近づいていた。
よし!! ここで片桐さんにパスだ!!
そして片桐さんから藤宮さんへ、藤宮さんから逆サイドにいる日野さんへとパスを回す。
そのまま日野さんはライン際を走り、ハルへセンタリングを上げる。
「はぁぁぁぁぁ!!」
「ほら、来たぞ馬鹿息子。跳べ」
「なんでそんなに偉そうなんだよ!! ってか親父も跳べよ!!」
狐神君はツッコミながらボールに向かって跳ぶという器用っぷりを発揮し、先に跳んだハルと競り合う。
「なっ!?(全く動かない!? 岩を相手にしてるみたいだ!!)」
「ったく、親父の奴サボリやがって」
難なくボールをトラップした狐神君は何かぶつぶつ言いながら着地する。まさか狐神君達全員チートキャラなのか!?
「まだだ!! ナオ、片桐、日野さん、藤宮さん!! ボール奪うぞ!!」
「う、うん!!」
「はい!!」
僕達は一斉に狐神君がもつボールめがけて走る。ゴール前で奪ってそのままシュートできれば1点とれる!!
「はっ!! やらねぇよ!!」
狐神君は右手で僕とハルをガードしつつ、まるで足に吸い付いてるようなボール捌きで僕達の足をかわす。
「うん。なかなかやるな。よっ」
狐神君はくるっと背中を向けるとポーンと後ろにボールを浮かせ、一気に駆け出す。
「なっ!?」
「AHAHAHAHA~!!」
そしてボールを地面につけることなく、体全体でリフティングしながらフィールドを駆ける。
……中途半端な英語を使い、僕達が追いつけない如月さんクラスのスピードで。
もちろん志穂や麻生さんが止められる訳もなく、あっさりゴールを決められてしまった。
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