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暫く走って何者かは唐突にその足を止めた。
だが理由は一目瞭然である。
目の前にはオークと呼ばれる、上級に指定された魔物が7体も居たのだ。
オークは知能が低く動きも遅いが身の丈は3~5㍍もあり、手には太いこん棒を持っていて当たれば人間などひとたまりもないだろう。
しかしそれだけならオークと言う魔物はそれほど脅威ではない。
オークの真の強さは並外れたタフさにある。
強靭な皮膚は物理攻撃をほとんど受け付けず、魔法にも強い耐性を持ち、また基本的に2、3体で行動する為Sランクの者でも最低2人で依頼を受けるのだ。
そんなオークを前にたった1人で、しかも7体ものオークを相手にするなど正気のさたでは無い。
「ありゃ~…やっぱり寝てたのを起こしたからご機嫌斜めだなー」
状況的を鑑みれば逃げるのが妥当、いやそれしか無いだろう。
だが何を思ったのか再びオークに向かってものすごい走りだした。
「眠いし、とっとと終わらして帰って寝よ…」
オーク達も自分達を起こした不届き者を見つけたのか、手に持ったこん棒で叩き潰さんと腕を振り上げ、迎撃態勢をとる。
しかし何者かはそれを見、不敵に笑い
「面倒だ。一撃で終わらせてやる。――《セイントジャッジメント》」
何者かは走るのを止め、左手を前に突き出し徐に(おもむろに)そう呟いた。
途端、幾つもの光の筋がオーク達に降り注ぎ、そのあまりの勢いに、巨大な土煙が上がる。
土煙が収まった後オーク達は跡形も無く、幾つものクレーターだけがそこにはあった。
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