2章:転機

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少し呆れた表情をしながらも、ある程度予想していたのか彼女は次の行動にでる。 「はぁ~……。全くシオン様はっ!」 と言いながら彼女はシオンのシーツを引っぺがす。 そこで現れたのはメイドさんに勝るとも劣らない美少年だった。 しかしメイドさんとは少しニュアンスが違う。 メイドさんの方は美少女は美少女なのだが美女に近い。 が、シオンはまさに絵に書いたような『美少年』だった。 凛々しさよりも幼さが目立つが整った顔立ちをし、今は閉じられているが瞳は濁りのない澄んだ黒で見た者に安心感を与える。 髪は全体的に長めでメイドさんと、同じ漆黒で前髪が目元を隠すほど伸び、後ろ髪は肩の辺りまで無造作に伸ばしている。 「んん…」 どうやら起きたようである。 「ん…あ、刹那おはよう~」 まだ眠いのか目を擦りながら上体を起こし伸びをする。 「おはようございます、シオン様」 メイドさん――もとい、刹那も朝の挨拶を返す。 今さらの説明だがメイドさん、フルネームは『刹那・不動』(セツナ・フドウ)。 シオンとは付き人であり、幼なじみであり、恋人である。 「……あぁ。……ところで――アレはなんだ?」 哀れにも真っ二つにされた扉を指差す。 当然の反応と言えよう。 しかし刹那は悪びれた様子もなく 「扉だったモノですが……?」 と首を傾げながら答えた。
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