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「いや違う……そんなことを聞いてるんじゃない。どうして扉が真っ二つになっているのかを聞いてるんだ……」
「シオン様がお起きになられないので強行手段をとらせて頂いただけですが?」
刹那は本気で何故シオンがこんなことを聞くのかわかっていないようである。
「……いつも言ってるだろ?朝弱い俺を起こしに来てくれるのはすごく嬉しい。でもその度に俺の部屋のモノを壊さないでくれ……」
どうやらこんなことは日常茶飯事らしい。
「それなら私も何時も言っているではありませんか。私が扉の前で呼んだ時に起きるよう努力して下さい、と」
「起きる努力はしてるよ。現に昨日は起きれたじゃないか。でも今日は朝方にオークの討伐依頼をこなして来た所なんだし、今回はノーカウントだろ?」
「それはシオン様が面倒くさがって依頼を溜めていたからじゃないですか?」
「そ、そうだけど…」
正論で返されシオンは言葉に詰まる。
しかし刹那は更に追い打ちをかけた。
「だけどじゃありません。それに半分私が手伝ってあげてるじゃないですか?これだって過密な予定の合間をぬって行ってるんですよ?」
刹那がちょっぴり怒りながら言う。
「……だって刹那と出来るだけ一緒に居たいし…」
「っ!!」
途端、刹那の顔がトマトのように真っ赤になる。
「それとも刹那は俺と一緒に居たくないのか…?」
シオンが悲しそうな目で刹那を見上げる。(シオンはベッドに座っていて刹那はその前に立っている)
「それは…その……居たくない訳ではない…んですが…その…仕事も大事と言うか…あの…その……」
「よかった。俺も刹那と一緒に居たいからな~」
と言って満面の笑みを浮かべ、そのまま刹那を抱き寄せた。
「あぅ…」
刹那はますます顔を真っ赤にし、一方のシオンは
「(刹那はこういうのに弱いからな~♪)」
と、刹那が慌てるのを見て楽しんでいた。
どうやらわざとしていたようだ。
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