2章:転機

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「持って行く物ったって基本的に俺はそういうの無頓着だからなー。刹那、何持って行けばいい?」 結局刹那に丸投げするシオン、主人公としてこの先やっていけるのか一抹の不安を感じるのは致し方ない事であろう。 「持って行く物は特に制限されている訳では無いので、常識の範囲内の物であれば何を持って行っても構いません。それにシオン様はボックスリングをお持ちですし、必要な物はそちらに全て入っているでしょう?」 「まぁ、な」 ボックスリングとは今シオンの右手の人差し指に嵌まっている銀色の指輪で、無属性の初級魔法(ボックス)を魔法付与した魔道具である。 「あれ?用意すること無いじゃん……」 「いえ、私の用意がまだなので手伝ってくれませんか?」 「あぁ全然いいぞ。じゃ刹那の部屋行くか」 言い忘れていたがシオン達がいるのはギルド本部にある寄宿舎で、ギルドに入るとランクに関わらず一部屋ずつ貰える。 しかしボロイ――もとい、長年雨風を凌ぎ否応なく時代を感じさせる内装、外装のため使用者は少なく金の無い低ランクの若者や余程の物好き以外は物置として使っている。 シオンは典型的な後者、刹那は別に本当の部屋があるのだが、わざわざこの寄宿舎で寝泊まりしている。
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