2章:転機

13/15
前へ
/426ページ
次へ
◆◆◆ 「こんなもんか?」 時間は飛んで現在は日も落ち、すっかり暗くなり外に出れば美味しそうな匂いがあちこちからするであろう午後6時(をちょっと過ぎた頃)。 流石にシオンとは違い、持って行く物はそこそこの量があり、それを整理するのに些か時間を要した。 と、言うのも学園の規則で長期休暇や学園長の許可が無い限り、学園から出てはいけない事になっているからだ。 まぁ実際はシオンが刹那に事あるごとにちょっかいを出し、刹那がそれに一々反応してしまったのが主な原因なのだが。 「もうこんな時間かー。案外かかったな……」 「…………そうですね」 「悪かったって……。そろそろ機嫌直してくれよ……アレは事故だって……」 「………………」 何故こんな事になったのかというとシオンの何気ない一言が発端であった。 荷物を詰めている時シオンが、誤って刹那の下着(ブラの方)を見付けてしまい、その際―― 「刹那……また大きくなったんじゃないか?」 と言ってしまったのだ。 シオンとしては素直に、寧ろ(むしろ)褒めるくらいの気持ちで言ったのだが、刹那はそれがものすごーく恥ずかしかったらしく、それ以来シオンの方を見ず、受け答えもぞんざいなのだ。 「……ふんだ…………シオン様の……ばか……」 何だかんだ言ったが、要するに恥ずかしくて面と向かえないだけなのだが。
/426ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5082人が本棚に入れています
本棚に追加