0章:誕生

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「っ!!」 男はその声を聞くと大急ぎで隣の部屋に行き、ベッドの上で二人の子供を抱き、とても幸せそうな顔でその子達を見る女に話しかけた。 女の名は『レイス・シルフィース』 現当主、ドイル・シルフィースの妻である。 誰もが思わず触りたくなるような美しい金髪を腰まで伸ばし、透き通った蒼い瞳は見た者を釘づけにする。 また表情は穏やかでとても優しげな印象を受ける。 「……生まれたんだな?」 女はとても幸せそうな顔で「はい。」と、答えた。 「しかも、見て!男の子と女の子の双子よ!?」 言葉の端々からいかに女が幸せかが見て取れる。 それにつられてか、さっきまであれほど落ち着きが無かった男も表情を和らげる。 「おぉ、そうか!よくやった!これで我が家も安泰だ!」 と、実に嬉しそうである。 「私にも抱かせてくれんか?」 「えぇ!もちろん!」 そうしてまず男の子の方を受け取る。 「よし!決めたぞ。この子はシオンだ!」 次は女の子の方を、やはり嬉しそうに抱き上げる。 「この子はアリスだ!」 それを聞きレイスは 「よかったね?お父さんに名前を付けて貰えたのよ?」 と、優しく語りかけた。 心なしか子供達も嬉しそうな表情をしている。 この時彼ら4人は間違いなく幸せだっただろう。 しかし彼らはこの時知る由も無かっただろう。 この幸せが突然、本当に突然、終わりを迎えることを……。
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