1章:プロローグ

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まだ薄ら(うっすら)朝霧が立ち込める森の中を何者か静かにが歩いている。 まだ日は低く一応出ている、といった程度でしかない。 また木々が乱立し、日光を遮るため大地まで光が届いておらず、一層暗い印象を受ける。 しかし森を行く何者かはさして気にする事もなく、どんどん森の奥に入って行く。 このような森を1人で歩いていることもそうだが、行動が奇妙極まりない。 立ち止まり、辺りをキョロキョロと見回したかと思えば、何事かを呟きながらまた歩きだす。 明らかに奇妙な行動である。 暫くそんなことを繰り返していると 「まずい……迷った……」 その声はどこか幼く、しかし、その言葉からは凛とした印象を受け、しかも迷子特有の焦燥を感じている様子もない。 「ん~ホントここどこなんだろ……?」 暫く考えるような仕草をした後、ふと思い立ったように―― 「うん。アレでいこう」 と、言っておもむろに膝をつき地面に手を置いた。 「……《アースインパクト》」 するといきなり地面に立っていられないほどの激し揺れが起こり、続いてすさまじい轟音が響いた。 「―――グォーン!!」 明らかに人以外の、しかも明らかな怒気を含んだ雄叫び。 常人なら聞くだけで恐怖で抄くんでしまう程の声。 しかし何者かは、何を思ったのかその声がする方へものすごい速さで走り出した。
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