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バサバサバサ……っと音を立てながら鳥が飛び去っていく。
俺はそれを目で追ったあと、伸ばした腕を引っ込め、また仰向けになった。
真っ青……っと言ったら感じが悪いな……薄青く透き通った今日の青空を望みながら、俺は一つ欠伸をする。
「相変わらず暇そうですね」
っと、欠伸をしていた俺に彼女が声をかける。
「これが日常的で幸せな事なんだ」と俺は欠伸した状態で言葉を挟んだ。
けれどおそらく彼女には聞き取れてないだろうなと思いながら俺は体を起こし、水の貯まった瞳を開いて彼女を見た。
上に青、下に白の歪んだ背景に……黒、緑が視界の中央に腰を下ろす。
急ぎすぎた……そう思いながら俺は瞬きを数回行う。
涙が頬を伝い終わった所で再び彼女を見、彼女と目を合わせた。
ジーンズを穿き、白地に端で二つの黒い太線が十字にクロスされた半袖シャツを着た彼女の髪は緑色だ。
日本人の持っていない髪色を持つ彼女の顔立ちは、アメリカでも、フィリピンでもなく、日本人のそれのようだった。
「向こうに行く準備は出来ているんですか?」
完璧な発音で彼女は訊いてきた。
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