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俺は彼女の質問に首を振り、後ろを向いて山を眺めた。
胸を張り、豊かに色を付けた青々しい山々が俺の視界いっぱいに広がる。
そしてああだこうだと言葉を連ねる彼女の方を向くと、今度は大小に連なる町並みが一望出来た。
今は未だこの町並みに何の感情も表れないけれど……夜になれば感嘆をあげる最高の夜景に様変わりする絶好スポットだ。
「別れたくねぇな、学校【ここ】からは……」
ふと呟くと、連ねていた彼女の言葉が途切れた。
「……すみません」
間を置いて出された彼女の次の言葉はそれだった。
「……」
また沈黙……
「……今日までには済ませておくよ」
俺はそういって、彼女を残して屋上から出ていった。
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