温唄

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温唄

こんなにもくらい部屋で 目が覚めて 何も見えなくて。 手探りで探した。     いつか君に触れた。 温かかった。 初めて触れた人の温度に 僕は涙を流した。     初めて気付いたよ。 君がずっと僕をみてくれていたんだね。 人はやさしいんだね。 頬を伝う雫は君と同じ温度だって気付いた。 僕も人だったんだ。     僕も君みたいになれるかな。 僕も君をずっとみていられるかな。 僕も君を愛したいな。 君の温度を僕もほしいよ。    初めて気付いたよ。 君がずっと僕をみてくれていたんだね。 人はやさしいんだね。 頬を伝う雫は君と同じ温度だって気付いた。 僕も人だったんだ。    いつかの君の光。 僕の光と合わさって 暗い部屋に七色の橋を渡した。 もう独りじゃないよ。 君とずっと手を繋いでいるよ。     今までありがとう。 これからも君と僕。 これからも僕と君。 この暗い部屋を照らしていよう。
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