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H
「えぇ!?。手を考えろって言ったのはレオじゃないですかぁ…って、わわわ」
ジンの瓶の開口部に破いたシーツを詰め込んでいる途中で、フリーザーの攻撃を受け、フィリップはオイルがもれないように必死で避けた。
瓶には氷の結晶が模様の様に張り付いている。
「うぅ、まだ彼女もいないのに氷付けは嫌ですぅ」
「氷づけにされなくたって、彼女なんか出来ねぇだろうが。ほら、火炎瓶貸せっ」
レオはフリーザーを警戒しつつ、フィリップに右手を差し出す。
「ひ、ひどいっ!。僕だって好きでメガネでそばかすなわけじゃないんですよっ」
フィリップは怒りで興奮し始め、火炎瓶を握ったまま、腕を振り回した。
「おまっ、オイルがもれんだろうがっ。つーか、早く渡せ、タコ」
レオがフィリップから瓶をひったくろうとしたその時、フュッと何かがレオの頬を掠めた。何かは壁にぶつかり、バンという音と共に霧散する。
驚いてフリーザーを振り返ると、フリーザーの口から次々と何かが飛んできた。
「お、おい」
「わわわ」
火炎瓶に火をつけるどころか、逃げるだけで精一杯である。
「こんなの聞いた事がないですよ!。フリーザーって、凍らせるだけの能力しかないんじゃないんですかぁぁぁ!?」
二人で追ってくるフリーザーから逃げながら、火炎瓶に何とか火をつけようとライターに火をつけるがうまくいかない。
「俺だって知らねぇよ」
次々と繰り出されるフリーザーの口から出る何かはまるで銃で襲われているような気分になってくる。
「まさかっ」
「?」
「俺たちが撃った銃を学習したのか?」
そんなまさか?。そんな知恵が氷の塊で出来たダビテ像もどきに出来るというのか。おまけに弾は氷だから、切れることがない。
踊り場の壁に身を隠し、やっと火がついた火炎瓶を砲丸投げの要領でフリーザーに投げつけた。
ぼわっと瓶は爆発し、フリーザーの肩から腹部にかけて溶かした。
「やったか?」
そう思った瞬間にはもうフリーザーは気体を集め、元の形に戻っていく。
「げっ」
「そんなぁ」
銀の弾も火も効かないのでは、今の自分たちにはお手上げである。
「もっとマシなの、作れねぇのか」
「しょ、しょうがないじゃないじゃないですか。ガソリンも硫酸もなしじゃぁ」
「ちっ、いっそのこと、ガスでいくかぁ?」
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