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「かな……さ……す……」
「う~ん……?」
「華楠さん朝ですよー!」
「ぐぉぶ!!」
お早うございます、蒼羅華楠です。
今日も天気がいいみたいですね。
あたしを強制的に起こしたこのイケメンは沖田総司さん。
新選組の一番隊の隊長さんで、同時に組内一の剣士と名高い。
天は二物を与えるんだなぁ。
そしてここ重要。
コイツはあたしを良くイジメる。
イジメるというか、もはや殺そうとしていると言った方が正しいかもしれない。
「うぐ……お、沖田さん……何考えてるんですか、肘から倒れ込むなんて……!腹にモロですよ……!口から内臓がポロリしかけたわ……!」
沖田さんはあたしなど軽く無視していつもの爽やかな対おばさまキラースマイルであたしに笑いかけた。
ふはは、その笑顔はあたしには通用しませんよ!
「さあ、早く早く!早く起きて僕たちの朝食を作ってくださいよ、皆さんお腹を空かせてます」
「あ~?」
「あっ土方さん」
「うおばぁ!!?」
あたしは布団から飛び上がって立った。
そして反射的に腰を落とし、敵……という名の副長の出現に備えた。
「うそです」
「うそかよ!」
あたしは立ち直すと頭をボリボリとかき、寝巻で使用している紺地に朝顔の咲く浴衣のまま、台所を目指した。
沖田さんのせいで目覚めは最悪だ。
奴はああやって毎朝あの手この手と手段を変え、イジメじみた方法であたしを起こしに来る。
無駄に早起きなんだから……自分で朝食くらい作ればいいのに。(※職務放棄)
そんなことを考えながら、女中としての仕事、食事作りに向かう。
フラフラとした足取りで台所に着くと、そこにはすでにいい匂いが漂っていた。
「源さん!島田さん!」
「やあ華楠ちゃん、おはよう」
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