三十六章:藤堂平助と苦手克服の話

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「にしてもなんだよコレ……俺の槍より長ぇな。扱いにくいだろ?」 「だからこうして練習してるんじゃないですか分かるでしょバカですか?」 「……あ、あぁ……そう……」 華楠は原田の肩越しに、開け放たれた道場の戸から外を見る。 「あっ!そろそろ時間だ。藤堂くん、付き合ってくれてありがとう!あたし朝ご飯作りに行ってくるね」 「分かった。また頑張ろうね」 「うん!」 華楠は包丁付き物干し竿を担ぐと道場の戸から出て行こうとして……戸口に物干し竿が突っ掛かって後ろ向きにこけた。 「華楠ちゃん大丈夫!?」 「おしり痛い……」 「戸口の高さを考えろばーかばーか」 仕返しとばかりに原田が華楠をバカ呼ばわりする。 ムカッとした華楠は素早く立ち上がると、物干し竿の柄の方で、馬鹿笑いする原田の腹を突いた。 物干し竿を逆に使ったというか。 「おっと、」 原田は柄が自分の腹を直撃する前につかんで止めた。 「バカにすんなよ?華楠。俺だって新選組の隊長なんだぜ。残念ながら、そう簡単にはやられねえよ」 「ぐ……っ!」 藤堂があわあわしながら2人の様子を見ている。 物干し竿の攻撃が無駄だと分かった華楠は跳躍した。 「おっ、次はなんだ?」 原田はニヤリと笑って腰を落とし、華楠の攻撃に備える。 「おらァァァァ!!!」 「どぎゅううう!!!」 原田の頭に華楠の豪快な踵落としが決まった。
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