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そんな関係が僅かに変わったのは、ほんの3ヶ月前。
春休み中のことだった。
いつも通り、部活を終えて帰ろうとした、時。
そのころ私は京くんにほんの少し、冷たくされていた気がして。
気のせいだと言われれば、それまでかもしれない。
だけど、それだけじゃなくて。
1週間ほど、私は続けてミスをしてしまった時期だったから。
呆れられてしまったのかもしれない、そう思った。
彼は自分に厳しい。
だからこそ辛い練習にも耐え、あんなに上手にプレイができるのだと思う。
だけど自分に厳しい人間とは、得てして他人にも厳しい人間、ということで。
その一切の妥協を許さない姿勢は、マネージャーをも含めていた。
あまり気が利くタイプでない私は、彼に眉を顰められることもしばしばあった。
でも、今度は。
「‥‥駄目、なのかもなぁ‥‥」
もう、認められることはないのかもしれない。
意外に彼に懐いていた私にとって、その事実は重く胸に沈んだ。
『京くーんっ』
『‥‥なんすか気持ち悪い』
『なっ、気持ち悪いって何よそれー!!』
『言葉のまんまです』
『ちょっ、』
そんな軽口のやりとりも、もう出来ないのか。
何故だかそれは、時間を経るほど私の胸に食い込む痛みになっていったんだけど。
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