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「‥‥ま、先輩がうるさくなくてこっちは大分楽ですけど」
「、っは!?ちょ、元気出してください、とか言えない訳!?」
「そういうのがお望みなら彼氏にでも言ってくださいよ」
「意地悪っ」
「‥‥何が?」
ひどい悪態に、思わず応じてしまう。
嫌みったらしい笑顔のまま、吐き出される、嫌味な言葉。
ニヤニヤしながら言われた言葉に、ぐっと思わず詰まってしまうけど。
今更、怒ることもできなくて。
やけくそ気味に、私は叫んだ。
「~~私がっ生まれてこの方彼氏いないのっ、知ってるくせにっ!!」
それを聞いて、京くんはそれはもう、愉快そうに笑っていたのだけれど。
思えば、その時からかもしれない。
いつも冷たくて私に無関心な彼が、分かりづらい励ましを、くれた日。
京くんは基本的に、興味のない人間に自分から構いになんて、いかない。
だから私、嫌われてないんだ、って思ったとき。
どんなにホッとしたか、君は知らないでしょ?
今まで、ただの後輩だった京くんが、お気に入りの後輩になって。
そして、『気になる』後輩になる日は、そう遅くはなかった。
だけどそれでも。
私は、マネージャーとプレイヤーって言う立場から、動けなかった。
というか、動きたくなかったのだ。
今の、みんなが仲良い生温い関係を、崩したくなくて。
それに、分からなかったから。
自分の気持ちが、可愛い弟分を思う気持ちなのか、1人の男性に対する気持ちなのか。
判断が、つけられなかったから。
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