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「よう相良、今日も絶好調だな!」
この嫌みではない、友人としてのからかいを海人に発しているのは、海人と同じクラスの、吉沼敏樹(よしぬまとしき)。
「お前も登校してきたのはさっきだろ。相良と対して変わらん」
転じて、敏樹に鋭い指摘を飛ばすのは、眼鏡がとてもよく似合う、空川恭平(そらかわきょうへい)。
両名とも、海人とは中学校時代からの仲で、昔から色々とやってきた、悪友と言えなくもない間柄だ。
吉沼敏樹は、一見お調子者という印象を受けるが(実際にそうなのだが)、いざという時は冷静に、かつ冷厳に対処出来る器を持つ、あらゆる意味で油断ならない奴だった。
また空川恭平は、頭も良く、運動神経もいいという、秀才の名に相応しい奴だった。
しかし一つ欠点と言える、かなりの短所がある。
それは一言でいうと、とても近寄り難い性格、雰囲気を出している、という事である。
海人や敏樹のような、一部を除き、他の者には殆ど心を開かない。
そんな、かなり難儀な御仁だった。
「お前ら、今日も元気だなぁ…」
「それが取り柄だからなっ!」
「それ以外にはなんの取り柄も無いからな。大切にするといい」
「ふん、頭が鋼鉄みたいにカチカチの恭平君に、んな事云われたくありません!」
「柔すぎてぐにゃぐにゃのお前よりましだ」
「なにぃっ!てめえ、そこになおりやがれっ!」
「いやだね。貴様がなおれ」
「このぉ~、空川恭平、天誅ぅぅぅっ!」
……そんな個性豊かな友人二人に加え、実はあと二人ほど親しい友人がいる。
その内の一人が、教室の後ろ、海人の死角から迫ってきていた。
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