一章 襲来の夢

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「おっはよー、海人!」 「ぐぅっ!背後からいきなり殴るなっ!」 「いやぁ、なんか元気なさそうだったから、つい」 「元気なさそうだったら殴るのかお前は……」 スッパーンという、小気味良い音を海人の頭から奏でたのは、はためくツインテールがとても良く似合う、活発な印象の少女、笠川朋美(かさがわともみ)。 テニス部所属で、スポーツ全般が得意という、かなりの体育会系である(因みに、彼女に体育会系と言うと何故か怒る)。 尚、彼女が『海人』と呼ぶのは、決して“そういう仲”だからではなく、ただ海人とは小学校時代から知り合いであるから。 彼女は何に対するのも、殆どはざっくばらんに、明朗快活に対応する、外見に違わず明るい性格である。 「ところでさ……」 朋美は海人との下りを終え、今彼女が感じている疑問を海人に問いかける。 「ん? なんだ?」 「…あれなに?」 朋美が指差す先には、悲鳴を上げる者と、その者の腕を後ろに回して固めている者が一組。 「ぎゃあぁぁぁっ! 俺が悪かった! 生意気言いました! だから許してぇぇ!」 「天誅だ」 「俺の台詞パクるな痛たたたたたた!」 …先程の天誅の顛末らしい。 海人は朋美に気を取られていて見ていなかったので、どういう経緯でこうなったのかは分からないが、何故か天誅を宣言した敏樹が、恭平にばっちり反されていた。
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