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国立バーベナ学園。 神族・魔族・人間が共に学び、魔法学を教える数少ない学校で、その校舎は開校してからまだ5年とあちらこちらに今だ真新しい臭いを残している。 「おはよ~。今日はギリギリだね、蜜柑」 1‐Bの教室に駆け込むと、人間よりも耳が長く尖った女の子がひらひら手を振ってくる――彼女は神族だ。それに蜜柑も手を振りながら近付く。 「おはよう。クレオ」 クレオの隣にある席には牡丹の席がある。机の脇に鞄をかけ、倒れ込むようにして席につく。 「何々、朝からお疲れ?」 「お疲れよ。朝から全力で自転車漕いだのよ。もう、疲れた~」 ぐだ~と机に突っ伏す蜜柑にクレオはにひひと笑う。 「その汗でブラ透けてるわよ」 「うそっ!?」 大きめな声に周りにいた男子が風の早さで牡丹を振り返る。風を切る音まで出すやつまでいる。 視線の先には顔を真っ赤にしながら、抱くようにして体を隠す蜜柑。彼女の着る制服――バーベナ学園の女子制服は白いセーラー服の上にベストを羽織る形なので汗をかいても、かいていなくても下着が透けて見える事はない。 「冗談よ、冗談!いや~やっぱり男子はすけべぃだね」 咽を鳴らしながら笑うクレオに牡丹は軽くキレる。 「ちょっと、クレオ!脅かさないでよ!あと、男子っ」 「「「はいぃ!?」」」 さっきまできらきら目を輝かせていた男子達は顔を真っ青にしている。 周りの女子から口々に「男子ってサイテー」と言われ、冷めた目で睨まれている。 「そういった露骨な反応は控えて下さいね」 蜜柑の目が笑ってない微笑みに男子達はかくかく頷く。 「そんなんでいいの?」 「思ってた事は他の人達が言ったからね。畳み込む必要はないでしょ」 「まぁ、女の子の下着を覗けるチャンスがあるのら覗くのが青春だもんね」 クレオはきひひと笑いながら何かをめくるジェスチャーをしている。 「何その嫌な青春」 そのクレオに仲が良いとはいえ、蜜柑も少し退てしまう。 「おはよう。蜜柑、クレオ」 振り返ると、サイドアップテールの髪形に魔族の証である耳の尖った女の子が華やかな笑顔で近付いてきた。
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