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目の前にはその日記を書いた作家さんがいる。
何だか信じられなかった。
作家さんも普通の人間なんだから、冷静に考えたら何も特別なことじゃない。
そんなことは分かってる。
でも今のこの時間は私にとって非現実的なもののように思えた。
体がふわふわしていて落ち着かない感じっていったら伝わるかな。
彼はいろんな話をしてくれた。
音楽。
日記にまつわるエピソード。
普段の生活。
彼は自分の話だけではなく、私にも適度に質問をふってくれた。
その中の何気ない質問。
「彼氏いるんですか?」
私と作家さんを繋げたのもmixiだけど、私と元彼が別れる原因を作ったのもmixiだった。
元彼がmixiを通じて昔の彼女と再会し、ヨリを戻した挙げ句にフラれたのだ。
私は元彼に依存しすぎていたのかもしれない。
そのときから私の心にはぽっかりと穴が空いてしまった。
「何か変なこと質問しちゃったみたいですみません」
私はほんの一瞬だけ物思いにふけっていたつもりが、随分と長い時間、過去のことを思い出してしまっていたようだ。
だめだ。
今日は時間の感覚がおかしい。
緊張を紛らわすために飲んでいたワインが、少し効きすぎたのかもしれない。
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