mixi日記

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------------------------ もう時間の問題だろう。 そう思った。 店を出てからも彼女はひどく酩酊しているようで、目は虚ろで足取りも怪しかった。 これなら段階を踏まずとも目的を達成できそうだ。   正直いって今日は無理だと思っていた。 待ち合わせ場所に現われた彼女は、今までmixiを通じて会ってきたどの女性よりも綺麗だった。 綺麗だが相手を突き放すような冷たい印象はなく、親しみやすささえ覚えた。 だが易々と手は出せなさそうな感じだった。 だからいつもは居酒屋の個室でボディタッチを繰り返し、相手の心の壁を取り払っていくのだが、作戦を切り替え、テーブル席のイタリアンレストランでじっくりとコミュニケーションを取ることにした。 二回目もしくは三回目で目的を果たせればそれでいいか、などと考えていた。 しかし彼女は予想外にアルコールを注文し、かなり早いペースで口に運んでいった。 緊張していたのだろうか。 酒はあまり強くないらしく、ちょっと飲んだだけで頬を赤らめ、目の焦点が合わなくなってきているのが分かった。 俺は作戦をさらに変更し、「夜の散歩」へ連れ出すことにした。 彼女にとって俺は緊張に値する存在、ということか。悪くない。 俺は軽い優越感に浸った。 mixi上に日記を載せてちょっと有名になるだけで、こんな風に知らない女性と簡単に知り合える。 俺はある意味、mixiを最大限に有効活用しているかもしれない。
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