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翌週全休日明けの火曜日、不動は自厩舎の調教を終えた真澄を連れ出した。
一『ドコ行くんですか?』
不『調教に決まってるだろ?』
一『こんな遅い時間からですか…?』
不『寺尾先生のトコで乗り役探してて、真澄にはピッタリかなぁて…どうする?』
一『ありがとうございます…乗らせていただきます‼』
二人がコース脇に着くと馬を連れた厩務員が寄って来た。
厩『ジョッキー、おはようございます』
不『真澄っ、この子がフリーズムーンだよ』
紹介された馬は三白眼の小柄な芦毛馬だった。
一『この馬、牡馬ですか?牝馬ですか?』
不『牡馬だよ』
一『何勝してるんですか?』
このやり取りに厩務員の鴨下はドキッとした。
厩『アンチャン、この馬のコト何も知らんのか…?』
不『実はまだ未勝利なんだ』
一『未勝利…?』
厩(…不動…なんの説明もしてないのか?
どういうつもりだ?)
真澄は言われるがままコースに出て行った。
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