出会い

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夜も眠らない都会の町並みを見なくなって、もうどれくらいの月日が流れたのだろうか。 ある事件をきっかけに都会から逃げてきた臆病者の俺は、今日もまた、いつもの場所へ足を運んでいた。 この町にきてから1ヶ月。都会との違いに毎日驚かされてばかりいた俺だったが、今ではその生活にもすっかり慣れ、それが当たり前のように感じるまでになっていた。 (そうだ、もう1ヶ月になるのか) 1ヶ月前。目的もないまま、いくつもの町を彷徨っていた俺は、その日、ある女の子と出会い、何故かその子の家族と一緒に暮らすようになった。 食べ物もろくに摂らず、ただ1日生きのびる方法を探すだけの生活は一変し、今では毎日のように気ままな飼い猫生活を送っている。 朝には女の子を見送り、昼には縁側で陽なたぼっこや散歩に出かけたり。 さらには、夕方には女の子の帰りを待ちながら、夕食づくりの光景を眺めている。 前の生活からは想像も出来なかったことだらけだ。 今までこんな経験をしてこなかったせいか、このまったりと時が流れていく日常にだけは、未だになれることが出来ないでいた。
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