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年の差カップル
…ダメよ。アナタ!
…なんだって?エッ、良く聞こえ
ない。
薄暗い公園の、ベンチでのこと。
彼は、彼女にすがり付く。
辺りには、抱き合った、カップル
が、影絵のように、もぞもぞと
揺らぐ。
黒いツガイの妖精たちを…
赤外線で覗いたら、
真っ赤に燃えているだろう。
爺太郎も、下半身が、火照って
来た。
脈拍が、股関で感じられる。
ドキドキ、ドキドキ…、
嫌が応でも、固くなる。
爺太郎は…
年甲斐もなく
相手よりも
興奮してた。
だが…、
近頃やけに、
感が悪くなり、
耳が遠くなっていた。
なのに…
下半身は、
元気なのだ。
爺太郎は、思う。
ー彼女も待っていて、濡れている
に違いない。この機会を逃したく
はない…!?
彼は…、
…大好きだよ。と、ささやき、
下着の中に、手を入れる…
…チョッ、チョッと待って、
彼女は、低く言う。
…ええっ、聞こえない?
大きな声で言って!。
彼女は、辺りを見回し、
…人だらけで、大声は無理だわ。
と、ささやく。
爺は、良く理解せず、思う…、
ー妻を亡くしてウン十年…
もう、寂しさに耐えられない。
これが…、
最後の、結婚のチャンスなのだ。
よく見ると、彼女は震えている。
ー嬉しさに、感激して
いるのだな!?。
ーこれで、決定的にしよう。
女なんて、抱いてしまえば…、
俺のトリコになる筈だ!?
彼女を、押し倒し、下半身の
下着を、全てずり落ろす。
…何、するのよおー!?
この変態野郎…!!
薄暗い公園の、
静かで…
悩ましい、
雰囲気の中に…
彼女の声が、こだまする。
真夏の夜の…、
蒸し暑い日の、事だった。
彼は…、周囲の、
好奇の目にさらされ、
命からがら、逃げ出した。
帰り際、独り、つぶやく。
…二十歳の、今時の若い子を、
ゲットするには!?、
老け過ぎた…!、
爺太郎は…、
今日、七十五才だ!…、
生涯忘れられない、失恋の日、
となってしまった…。
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