931人が本棚に入れています
本棚に追加
玄関を出て、鍵を閉める。
愛車である原付に跨り、エンジンを始動し、アクセル全開で発進。
地図に書いてある住所は自宅からは差ほど離れておらず、原付で15分程で着いた。
「ここ…、マフィアのアジト…か?」
ついた先は普通の一軒家。
木造モルタル、二階建て。
普通すぎて逆に怪しい…。
普通に設置してある普通のインターホンを押すと、普通にピーンポーンと、恐らく全国共通のありふれた音が響いた。
「はい?どなたですか?」
普通に対応する女性の声。
ここ、本当にマフィアの家か?
手紙自体がイタズラだったのか?
一抹の不安と様々な疑問が脳裏をよぎる。
「あーっと…、えっと、手紙見てここに来たんですけど…」
しばし沈黙の後、インターホンから女性の声が響いた。
「入って下さい。鍵を開けます」
ガチャッと、ありふれた開錠音がして、扉が開かれた。
中から出て来たのは、女。
恐らく、先ほど対応した女性だろう。
だが、女性は女性だが、俺の予想した女性では無かった。
なにしろ外国人。
いや、マフィアなら外国人と言うのが普通だが。
流暢な日本語と木造モルタル、瓦屋根の日本家屋から、出てくるのは日本人とばかり思っていた。
「さぁ、入って」
扉を開け、入る様促す女性。
豊かな栗色の髪に茶色の瞳、筋の通った高い鼻、長い足、引き締まった腰に、これでもかと言うくらい膨らんだ胸。
外国人の特徴満載である。
しかも美人。
凜香や爛香と違う、成熟した美しさ、と言うのか、とにかく可愛いより美しい。
生きている内に、心から美しいなんて曖昧な言葉を使うとは思わなかった。
などとドギマギしつつも、取り敢えず扉をくぐった。
最初のコメントを投稿しよう!